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建設業許可・経審・産廃収集運搬許可・古物商許可

「経営事項審査(経審)」ってなに?

2021/08/07 更新

「経営事項審査(経審)」ってなに?

1.「経営事項審査」とは?

公共工事を元請として直接受注する場合に必要な審査が、「経営事項審査」です。
下請けとして公共工事に参加するだけなら、「経営事項審査」を受ける必要はありません。

「公共工事」とは、下記の発注者が発注する建設工事です。

公共工事の発注者は、競争入札に参加しようとする建設業者について資格審査を行います。
資格審査は「客観的事項(客観点)」と「発注者別評価(発注者点)」、それぞれの点数を合計し総合点数で評価します。

「経営事項審査」は、「客観的事項(客観点)」を求める審査です。
この審査は、許可行政庁で審査を行います。

経営事項審査は原則として、直前の事業年度終了日(直前の決算日)が審査の基準日になります。
申請した時点を、審査されるわけではありません。

申請時に次の決算日を迎えてしまった場合は、従前の審査基準日では審査を受けることはできません。

経営事項審査の有効期間は、経営事項審査の審査基準日から1年7か月の間です。
申請が受理されてからではありません。

1年ではなく、1年7か月である理由は、申請の準備期間や審査期間など時間を要するためです。
決算日が過ぎれば、すぐに経営事項審査を受けることができるわけではありません。
確定申告や決算変更届など済ませてからでないと、経営事項審査の申請はできません。

経営事項審査の有効期間

経営事項審査の有効期限が切れてしまうと、公共を受注できなくなる空白期間が発生します。
そのため事業年度が終了したら、すぐに準備にとりかかる必要があります。

2.経営事項審査の算出方法は?

経営事項審査の算出方法は、決まった審査項目により点数化されます。
各評点の種類と割合は、以下の円グラフになります。

評点の割合

経営状況(Y評点)


決算書から会計学的な視点で、経営状況を審査します。
建設業者の経営状況は、非常に重要な要素です。

このY評点は、総合点の20%を占めます。
最低点0点 ~ 最高点1,595点

Y点を審査するところは、登録経営状況分析機関です。
登録経営状況分析機関は、建設業者の決算書(財務諸表)から経営状況評点を算出するための機関です。
分析機関により、料金とサービス内容が異なります。

登録経営状況分析機関は、追加または廃止される場合があります。
「国土交通省ホームページ」より、最新の分析機関を確認することができます。
登録経営状況分析機関一覧

Y点の求め方は、4つの項目があり、1つの項目につき2つの審査項目があります。

  1. 負債抵抗力
  2. 収益性・効率性
  3. 財務健全性
  4. 絶対的力量

計算方法はややこしいのですが、そういう計算方法は分析機関にまかせましょう。
それよりも経審の申請時には、「経営状況分析の審査結果通知書の原本」が必要です。
そのため、経審の審査をする前に、経営状況分析申請を先にしておく必要があります。

では経営状況分析申請と、決算変更届はどちらを先に提出すればよいでしょうか?
どちらでも良いのですが、決算変更届を先に提出したあとに、経営状況分析申請で修正を受けた場合は、決算変更届も訂正しなければなりません。
訂正するときは、「建設業の係る訂正の届出書」を提出する必要があります。

建設業の係る訂正の届出書

経営状況分析申請を行い、「経営状況分析の審査結果通知書の原本」を受取る。
決算変更届を提出し、経営状況分析申請を行う順番がお勧めです。

経営規模(X評点)

X点は、以下のX1とX2に分かれます。
経営規模に関する要素です。

・X1=完成工事高の評点(工事種類別に算出)
・X2=自己資本額と平均利益額の評点

このX1評点は総合点の25%、X2点は総合点の15%を占めます。
X1評点は、最低点397点 ~ 最高点2,309点
X2評点は、最低点454点 ~ 最高点2,280点

X点は、X1とX2に分かれ、どちらも経営規模に関するところです。
 X1=完成工事高の評点(工事種類別に算出)
 X2=自己資本額と平均利益額の評点

 X1=完成工事高の評点(工事種類別に算出)

申請書類の「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」に記載しますが、工事種類別に完成工事高を記載します。
そして、「2年平均」か「3年平均」を選択することが出来ます。

 X2=自己資本額と平均利益額の評点

申請書類の「経営規模等評価申請書・総合評定値請求書」に記載しますが、自己資本額と利益額を記載します。 そして、「基準決算」か「2期平均」を選択することが出来ます。
自己資本額は、「経営状況分析結果通知書」に書かれています。

利益額は、経営状況分析結果通知書の再下欄の数値から、2期平均で割れば利益額を求めることが出来ます。

X1とX2で選択する項目があるので、より有利になる方を選択すればいいです。
そして完成工事高の振替(算入)をすることで、受審する工事の完成工事高をポイントアップに有効です。

 完成工事高の振替(算入)

完成工事高の振替(算入)を使用することで、特定の完成工事高を増やすことができます。
増やすことで総合評点値(P点)の底上げをすることができますが、振替ができるルールがあります。

「専門工事 → 一式工事」の振替ルール

土木的な専門工事の完成工事高は土木一式の完成工事高に加え、建設的な専門工事の完成工事高は建築一式の完成工事高に加えることができます。

気を付けるべき点として、振り分け元の専門工事の直前2年又は3年分の完成工事高を全額算入する必要があります。
専門工事の完成工事高である一部を、算入するということはできません。

振替元の業種は、経営事項審査を受けることは出来ません。

  1. 振替元の工事と振替先の工事の両方で、建設業の許可が必要。
  2. 振替元の工事の売上高一部だけを、振替ることはできない。
  3. 振替元の業種は、審査対象にはならない。

「専門工事 → 専門工事」の振替ルール

専門工事の完成工事高を、決まった専門工事の完成工事高に加えることができます。

[専門 → 一式]の場合は、直前2~3年の完成工事高を加える必要がありました。
[専門 → 専門]の場合は、今年は完成工事高を加えるけど、2年前の完成工事高は加えない等と選択することが出来ます。

ただし条件があり、算入ができる業種は以下のように限りがあります。

  1. とび・土木・コンクリート ⇔ 石、造園、解体
  2. 電気 ⇔ 電気通信、消防施設
  3. 管 ⇔ 熱絶縁、水道施設、消防施設
  4. 塗装、屋根 ⇔ 防水

振替に、あまり利用することはないでしょうが、分割分類による振替というのもあります。

分割分類による他の工事業への算入

  1. 一式工事の完成工事高を、複数の専門工事に算入
  2. 一つの専門工事の完成工事高を、複数の専門工事に算入

今年は完成工事高を加えるけど、2年前の完成工事高は加えない等と選択することが出来ます。

振替元の業種は、経営事項審査を受けることは出来ません。

振替はややこしいところもありますが、X点はポイントアップしやすいところなので考えるべきところです。

技術力(Z評点)

建設業者の技術力を、以下の視点で評価します。
・技術力に直結する「技術職員の数」
・高い技術力が求められる「元請工事の受注金額」

このZ評点は、総合点の25%を占めます。
最低点456点 ~ 最高点2,441点

Z点は、技術職員ポイントと元請完成工事高から計算されます。
技術職員ポイントは、建設技術系国家資格保有者と実務経験者の合計点で決まります。
高い点数の資格を保有している技術職員が多く在籍していれば、合計点は高くなります。

国家資格者の中で技術力が高いとされる1級の資格保有者は高評価になり、管理技術者講習を修了したものは上乗せ点がつきます。
技術職員は常勤性があることが確認されますので、名義貸しはできなくなっています。

審査基準日以前に、6か月を超える恒常的な雇用関係が必要です。
技術職員が出向社員の場合は、出向先で審査基準日以前6か月を超える恒常的雇用関係が確認できればOKです。

経営事項審査(経審)では、技術職員1人に2業種まで選択できます。
国家資格を1つ保有していると、2つ国家資格があるように2業種をカウントできるようになっています。

技術職員になれる方は、建設技術系国家資格保有者、又は実務経験年数が10年以上ある方になります。
資格をもっておらず、実務経験が10年にも満たない方は技術職員にはカウントされません。

技術職員は、1人につき2業種を申請することができるため、2ヶ所記載する箇所があります。
(例1)土木施工管理技士 → 「土木」「とび・土工・コンクリート」を選択可。
(例2)土木施工管理技士と建設施工管理技士 → 「土木」「建築」を選択可。

社会性等(W評点)

労働福祉や法令順守と、社会的能力や貢献度を評価します。
マイナス点があるのが特徴です。

このW評点は、総合点の15%を占めます。
最低点-1,995点 ~ 最高点2,061点

W点は、社会性等を審査します。
Wの数を出す式
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)×10×190÷200

 W1(労働福祉の状況)

W1はアとイのグループに分けて、各々のポイントの合計値がW1です。

アのグループは、以下に所属していれば加点(+15)を貰えます。
所属していない場合は、0ポイントです。

  1. 建設業退職金共済制度の加入
  2. 退職一時金制度・企業年金制度の導入
  3. 法定外労働災害補償制度の加入

イのグループは、以下に所属していれば0ポイントです。
所属していない場合は、減点(-40)ポイントです。

  1. 雇用保険の加入
  2. 健康保険の加入
  3. 厚生年金保険の加入

 W2(建設業の営業継続の状況)

W2もアとイのグループに分けて、各々のポイントの合計値がW2です。

アのグループは、建設業の営業年数に応じてポイントが付与されます。
営業して5年以下の場合は、0ポイントです。
1年増えるごとに2ポイント増えます。
MAXは60ポイント(35年以上)です。


イのグループは、民事再生法又は会社再生法の適用が無ければ0ポイントです。
適用があった場合は、減点(-60)ポイントです。

 W3(防災活動への貢献の状況)

W3は、防災協定を締結していれば、加点(+20)ポイントです。
入っていない場合は、0ポイントです。
防災協定とは、災害時に物資や人の援助を受けられるように、自治体が民間企業と結ぶ救援協定です。

 W4(法令遵守の状況)

W4は、行政庁から指示や指導を受けたことがあるかどうかです。

営業の全部若しくは一部を停止するように言われたことがある場合→減点(-30)ポイント
建設業に関し指導や指示を受けた場合→減点(-15)ポイント
何も言われていない場合→0ポイント

 W5(建設業の経理の状況)

W5もアとイのグループに分けて、各々のポイントの合計値がW5です。

アのグループは、監査の受審状況を審査します。
会計監査人を設置している場合→加点(+20)ポイント
会計参与を設置している場合→加点(+10)ポイント
経理処理の適正を確認した旨の書類を提出している場合→加点(+2)ポイント
何もない場合→0ポイント


イのグループは、公認会計士等の数で決めます。
(公認会計士等の数×1)+(2級登録経理試験合格者の数×0.4)=公認会計士等数値
公認会計士等数値は、手引きに記載されている表に当てはめて算出します。

 W6(研究開発の状況)

W6は、会計監査人を設置している会社のみが対象です。

公認会計士協会が発表している研究開発費を、2年分の研究開発費の平均額でポイントが付与されます。
平均額から、大阪の手引きの表に当てはめます。

 W7(建設機械の保有状況)

建設機械を1台保有していれば5点、2台目以降は台数に合わせて加算されます。
大阪の手引きから、建設機械の所有及びリース台数の表を見ます。

 W8(国際標準化機構が定めた規格による登録の状況)

国際標準化機構が定めた規格を保有していれば、ポイントがもらえます。
ISO9001を持っていたら加点(+5)ポイント。
ISO14001を持っていたら加点(+5)ポイント。
両方持っていたら加点(+10)ポイントです。

 W9(若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況)

若い技術職員がいれば、ポイントがもらえます。
技術職員名簿に35歳未満の技術職員数が、15%以上の場合は加点(+1)ポイント。
新たに技術職員名簿に記載された35歳未満の技術職員数が、1%以上の場合は加点(+1)ポイント。

 W10(知識及び技術又は技能の向上に関する建設工事に従事する者の取組の状況)

2021年4月より、「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)」が新設されました。
W10の内訳は、以下のとおりです。

  1. 技術者の評点・・・基準日前1年間における当該建設業者に所属する建設技術者のCPD取得状況
  2. 技能者の評点・・・基準日前3年間における能力評価基準で1以上レベルアップした建設技能者の雇用状況

CPD(Continuing Professional Development)とは、教育プログラムや講習を共有化し、受講した技術者などに学習時間をCPD単位として付与するものです。

計算式は、以下になります。

CPDの計算式

「技術者」は、「技術職員」+二級技士補です。
建設工事の施工管理に従事する者です。
ただし、CCUSレベル3、4は、技術職員名簿に記載可能ですが、技術者数から原則除外。

「技能者」は、技術者以外の現場作業者です。
技能者は、COUS能力評価基準でレベルアップすれば加点されます。

「CPD単位取得数」は、技術者が審査基準日以前1年間に取得したCPD単位です。
CPD単位を取得する団体は、いずれか一団体分のみです。

各評点(X・Y・Z・W)を合計した数値の「総合評定値(P点)」が、通知書で届きます。

総合評定値(P)=0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)

経営事項審査の評点により、受注できる公共工事の件数や規模が変わります。
どの程度の評点をとれか把握し、どういった取り組みをすればよいか、戦略的に取り組み必要があります。

3.経営事項審査結果通知書の見方は?

経営事項審査を受けると、「経営事項審査結果通知書」が送られます。
入札参加資格に必要な情報が、この結果通知書に集約されています。

経営事項審査結果通知書

 X1点(経営規模)の見方

X1点(経営規模)は、平均完成工事高の評点です。
各工事種類別に、2年または3年の平均の完成工事高の金額により点数が決められます。

2年平均か、3年平均のどちらが良いかは、自ら選択することができます。
前年度の金額が、前々年度の金額より高い場合は2年平均を選択。
前年度の金額が、前々年度の金額より低い場合は3年平均を選択するのが良いでしょう。

X1点の評点アップは、完成工事高を上げることです。

 X2点(経営規模)の見方

X2点(経営規模)は、自己資本額と平均利益額で算出されます。

自己資本額は審査基準日か、2年平均のどちらが良いかは、自ら選択することができます。
今年度の金額が、前年度の金額より高い場合は審査基準日を選択。
今年度の金額が、前年度の金額より低い場合は2年平均を選択するのが良いでしょう。

平均利益額は、2年間の営業利益と減価償却実施額の平均で算出されます。

X2点の評点アップは、自己資本を充実させることです。

 Z点(技術力)の見方

Z点(技術力)は、元請完成工事高と技術職員数で算出されます。

2年平均か、3年平均のどちらが良いかは、X1点(経営規模)と同様に自ら選択することができます。 技術職員数は技術職員の保有資格で算出されます。

Z点の評点アップは、技術職員を強化させることです。

 W点(社会性等)の見方

W点(社会性等)は、社会保険などの制度に加入しているかどうかで算出されます。

W点の評点アップは、社会性の制度を強化させることです。

 Y点(経営状況)の見方

Y点(経営状況)は、純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業キャッシュフロー、利益剰余金の指標から、経営状況分析機関が算出されます。

Y点の評点アップは、決算書をもとに算出するため税理士と話し合い決算の方向性を決める必要があります。

4.経営事項審査だけでは受注できない?

経営事項審査を受けても、それだけで公共工事を受注できるわけではありません。
公共工事は主に「競争入札」によって、発注先が決められます。
競争入札に参加するためには、「入札参加資格」が必要になります。

建設業者と経営事項審査の関係

出典:関東地方整備局ホームページ(https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/kensan00000013.html)

入札参加資格は、発注者ごとに「入札参加資格申請」を行う必要があります。
発注者は、経営事項審査の点数と、発注者の個別評価の合計点により、建設業者の格付けを行います。
その格付けにより、入札に参加できる工事の規模が変わります。

5.まとめ

うなずき

経営事項審査について、
まとめてみました。

  1. 公共工事を元請として、直接受注する場合には「経営事項審査」を受けなければならない。
  2. 経営事項審査は原則として、直前の事業年度終了日(直前の決算日)が審査基準日になる。
  3. 競争入札に参加するためには、「入札参加資格」が必要である。

経営事項審査で良い点数を取るには、事業年度終了後ではなく決算を迎える前に対策が必要です。
経営事項審査は、複雑な点数方式に成り立っています。

大阪府の経営事項審査でお困りの場合は、専門家視点でお手続きを当事務所は代行いたします!


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