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建設業許可・経審・産廃収集運搬許可・古物商許可

経審のW(社会性等)を評点アップするには?

2021/08/15 更新

経審のW(社会性等)を評点アップするには?

1.「社会性等」とは?

W(社会性等)は、総合評定値(P点)のウエイトでは15%です。
ウエイトは低いのですが、1つの評価項目が総合評定値(P点)に与える影響は大きいです。
評点の幅は、最高2,061点~最低-1,955点です。
P点換算で、最高294点~-284点です。

平成30年4月の改正で、評点の下限が撤廃されたため減点が大きいとマイナス値になります。
W点の審査項目は、W1~W10のように細かく分類されています。

 W1(労働福祉の状況)

社会保険・健康保険・厚生年金が未加入の場合に、大幅な減点となります。
改正建設業法では、1つでも未加入の場合は建設業許可を取得できません。
経営状態が許す限り福利厚生を充実させるためにも、加入することが望ましい項目があります。

雇用保険加入の有無

労働者を1人でも雇用している場合は、雇用保険の加入義務があります。
従業員がいない役員のみで構成されている会社や、一人親方は適用除外となり、未加入でも減点にはなりません。
加入義務があるのに、「雇用保険適用事業所設置届」を公共職業安定所に届けていないと減点になります。

健康保険加入の有無

法人と、常時使用する従業員が5人以上の個人事業主に加入義務があります。
4人以下の従業員の個人事業主や、建設国保など職域別の国民健康保険に加入している場合は適用除外となり、未加入でも減点にはなりません。
加入義務があるのに、健康保険や建設国保などに加入していないと減点になります。

厚生年金加入の有無

法人と、常時使用する従業員が5人以上の個人事業主に加入義務があります。
4人以下の従業員の個人事業主や、建設国保など職域別の国民健康保険に加入している場合は適用除外となり、未加入でも減点にはなりません。
加入義務があるのに、厚生年金保険に加入していないと減点になります。

建設業退職金共済制度加入の
有無

建設業退職金共済制度加入(建退共)は、建設現場で働く労働者や一人親方を対象とした退職金制度です。
審査基準日に独立行政法人勤労者退職金共済機構との間で、「特定業種退職金共済契約」を締結していると加点されます。
「建設業退職金共済事業加入・履行証明書」の提示が必要ですが、単に加入しているだけでなく、元請完成工事高に応じた証紙の購入があることで判断されます。

退職一時金もしくは企業年金制度導入の有無

退職一時金または企業年金制度のどちらかが設けられていれば加点されます。

退職金は、全ての従業員を対象としている必要があります。
独立行政法人勤労者退職金共済機構または特定退職金共済団体の発行する加入証明書などで証明します。
あるいは退職一時金の定めがある就業規則や、労働協約を証明することで加点になります。

企業年金は、厚生年金基金の発行する加入証明書または適格退職年金契約の契約書などで証明します。
業界団体などで運営されている厚生年金基金に加入するか、民間の保険会社などの適格退職年金の加入で対象となります。

法定外労働災害補償制度加入の有無

労災保険に上積みして、労災補償を締結した場合に加点となります。
(公財)建設業福祉共済団、(一社)全国建設業労災互助会、全日本火災共済協同組合連合会(旧:全国中小企業共済協同組合連合会)、(一社)全国労働保険事務組合連合会または民間の保険会社との間で一定の要件を満たした契約で加点になります。

加点されるための要件

  1. 業務災害及び通勤災害のいずれも対象であること
  2. 職員及び下請負人の全てが対象であること
  3. 死亡及び障害等級第1級から第7級までが対象であること
  4. 全ての工事現場を補償していること
  5. 法定保険である労災保険に加入していること

 W2(建設業の営業継続の状況)

営業年数は、コツコツと実績を積み上げるしかありません。
再生企業となる前に、食い止める社内努力が重要となってきます。

営業年数

建設業の許可から、審査基準日なでの年数を計算し、表に基づいて加点となります。
1年未満は切り捨てます。
許可を受けずに営業した期間や、営業停止処分を受けていた期間は算入できません。

民事再生法または会社更生法の適用の有無

平成23年4月1日以降に再生手続きまたは更生手続きの開始決定を受け、かつ、審査基準日以前に再生手続きまたは更生手続き終結の決定を受けていない場合に減点されます。
そして再生期間終了後は、営業年数の評価が0年にリセットされます。

 W3(防災活動への貢献の状況)

建設業者が国・地方公共団体と防災協定を締結している場合に加点評価されます。
災害時に官民共同で、優先的に応急工事を行う内容です。
中小建設業者は、建設業者団体などを経由して、公共団体と協定を締結することでも認められます。

単に所属している建設業者団体が、防災協定を締結しているだけでは足りません。
防災活動に一定の役割を果たすことを、証明する必要があります。

 W4(法令遵守の状況)

審査対象となる年度内に、「指示処分」または「営業停止処分」を受けた場合に減点対象となります。
申請書の記載は自己申告ですが、虚偽申請をおこなうと許可取消処分の可能性があります。
うっかりミスでも処分されますので、充分注意が必要です。

 W5(建設業の経理の状況)

建設業の経理の状況は、「監査の受審状況」と「公認会計士等の数」で審査されます。
会計監査人や会計参与では報酬が必要ですが、社外の会計専門家により客観的な評価を受けます。
社内に自主監査できる有資格者がいるならば、必ず自主監査を実施すべきです。

監査の受審状況

次の3つの場合に加点されます。

ア.会計監査人の設置

監査法人や公認会計士を、会計監査人として設置した場合に加点されます。

財務諸表に、「無限定適正意見」または「限定付適正意見」を表明します。

登記事項証明書で会計監査人の登記を確認でき、監査報告書の写しで証明します。

イ.会計参与の設置

取締役と共同して決算書を作成する税理士などが、会計参与として設置した場合に加点されます。

登記事項証明書で会計参与の登記を確認でき、会計参与報告書の写しで証明します。

単に税理士に、決算書を作成してもらうことではありません。

ウ.経理責任者による自主監査

社内の経理責任者が「建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目」で自主監査を行います。

そして「経理処理の適正を確認した旨の書類」に、署名した場合に加点されます。

自主監査できる資格者は決められており、国土交通大臣が指定する研修の受講が義務化されています。

公認会計士

審査基準日から直前3年以内に、120時間以上の研修を受講。

資格を得た日が属する年度の翌年度開始日から1年を経過しない者は研修の受講は不要。

税理士

審査基準日から直前の年度内に、36時間以上の研修を受講。

資格を得た日が属する年度の翌年度開始日から1年を経過しない者は研修の受講は不要。

登録経理講習を受講した1級建設業経理士

5年ごとの1級の登録経理講習を受講したもの。

合格日の翌年度開始日から5年を経過しない者を除く。

公認会計士等の数

公認会計士、税理士、登録建設業経理士の在籍数に応じて加点されます。
(公認会計士等の数×1)+(登録経理講習を受講した登録2級建設業計理士の数×0.4)

1人が複数の資格を有していても、上位のものだけが加点対象です。
有資格者の人数から数値を計算し、表に当てはめて評点を求めます。
公認会計士等の数は、年間平均完成工事高に応じて評価されます。
完成工事高に相応して、会計の能力が求められます。

 W6(研究開発の状況)

研究開発の状況は、会計監査人設置会社のみ評価対象となります。
審査対象年と前年の2年平均で、研究開発費で評価します。
会計監査人が「無限定適正意見」または「限定付適正意見」を表明している場合に限ります。

財務諸表の注記表に、研究開発費の額を必ず記載しなければなりません。
会計監査報告書は、署名押印された正本の写しが必要です。

 W7(建設機械の保有状況)

審査基準日に建設機械を所有しているか、審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められているリース契約を締結している場合に加点されます。
評価対象となるのは、以下になります。

建設機械
  1. ショベル系掘削機
  2. ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン又は

    パイルドライバーのアタッチメントを有するもの

  3. トラクターショベル
  4. バケット容量が0.4立方メートル以上のもの

  5. ブルドーザー
  6. 自重が3トン以上のもの

  7. 移動式クレーン
  8. つり上げ荷重3トン以上のもの

  9. 大型ダンプ車
  10. 車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上で事業の種類として、

    建設業(営業用含む)を届け出、表示番号の指定を受けているもの

  11. モーターグレーダー
  12. 自重が5トン以上

売買契約書などの証拠書類、建設機械の写真、車検証の写しなどが必要です。
地域防災に有効な建設機械の保有を促そうとしています。

 W8(国際標準化機構が定めた規格による登録の状況)

審査基準日に、国際標準化機構第9001号(ISO9001)または第14001号(ISO14001)の規格による登録を受けている場合に加点されます。
ただし営業所の全てが認証範囲に含まれており、活動内容が建設業に及んでいることが必要です。

 W9(若年の技術者および技能労働者の育成および確保の状況)

技術職員名簿の中で、満35歳未満の者が名簿全体の15%以上在籍している場合に加点されます。
また新規登録者で、満35歳未満の者が名簿全体の1%以上の場合でも加点されます。
効果的に若年者層を増やそうとしています。

 W10(知識および技術または技能の向上に関する取組の状況)

改正建設業法で、新たに評価項目として加わりました。
技術者の継続教育であるCPD(Continuing Professional Development)の単位取得数、技能者の建設キャリアアップのレベルアップで評価します。

技術者は、CPDに加盟する団体の再教育プログラムを受講して単位を取得します。
技能者は、審査基準日前3年間に建設キャリアアップでレベルアップした者を評価対象しています。

この項目の単位取得では、全体人数の比率で評価されます。
そのため在籍数の多い建設業者は、在籍者数に見合った単位数を取得しないと評点は得られません。
全社的な取り組みが必要な評点です。

2.(W)を評点アップするには?

(Z)は、1項目あたりの総合評定値(P点)の影響が大きい項目です。
社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)は、必ず加入しなければなりません。
そして経営を圧迫しない範囲で、各制度加入を検討しましょう。

技術者の継続学習によるバックアップは、全社的に行うと良いでしょう。
技能者には、建設キャリアアップの登録支援を行います。
経理職員は、登録建設業計理士1級・2級の資格取得を目指します。

また若年者を雇用することで評点アップ対象にもなりますが、会社を永続的に発展させる観点からも加入することは重要です。

建設機械も1台保有することで加点されるため、思い切って導入してみるのも検討すべきでしょう。

3.まとめ

うなずき

W(社会性等)の評点アップについて、
まとめてみました。

  1. 社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)は、必ず加入する。
  2. 経営を圧迫しない範囲で、各制度加入を検討する。
  3. 若年者層の雇用を検討する。
  4. 建設機械の導入を検討する。
  5. 技術者、技能者、経理職員のレベルアップを、全社的にバックアップする。

W(社会性等)は、建設業者が社会的責任を果たしていることを評点としています。
加点項目は、費用対効果も考慮して導入することが重要です。

改正建設業法の施工により、新たに技術者の継続教育(CPD)単位取得と技能者の建設キャリアアップのレベルアップが評価項目に追加されました。
対象者の学習努力だけでなく、社内のバックアップが不可欠です。

W(社会性等)は評価項目が多いため、証明書類も多くなります。

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